関西私鉄の運賃は高い?安い?5社の運賃を徹底比較[近鉄/南海/阪急/阪神/京阪]
「関西の私鉄の運賃ってどこの会社が高くてどこの会社が安いの・・・?」
「私鉄の運賃ってどこも同じくらい・・・?」
「目的地まで複数の路線があるんだけど、どの路線の電車に乗ったら一番安くいけるのかな・・・?」
当記事はこんな悩みを解決します。
関西にはJRの他に近鉄、南海、阪急、阪神、京阪の5社がそれぞれ路線を伸ばしているので、電車で移動するのにとっても便利ですが、会社ごとの運賃は異なっています。
そこで当記事では関西私鉄大手5社の移動距離に応じた営業キロごとの運賃を表にしてまとめてみました。
各社ごとの特徴や関西各都市間の移動でどこが一番安いのか等も詳しく解説しているので、冒頭のような疑問を持っている方や目的地までに複数の路線があってどの会社の電車に乗ろうか迷っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
移動距離に応じた関西私鉄5社の運賃比較
では早速、関西を走る私鉄5社(近鉄、南海、阪急、阪神、京阪)の運賃を比較して見ていきましょう。
以下の表は関西を走る大手私鉄5社の営業キロ数ごとの運賃(初乗り~100kmまで)をまとめたものです。(単位はキロ数以外すべて「円」)
営業キロ数(km) | 近畿日本鉄道 | 南海電鉄 | 阪急電鉄 | 阪神電車 | 京阪電車 |
初乗り~4 | 180 | 180 | 170 | 160 | 170 |
5~9 | 240 | 240 | 200 | 200 | 220 |
10~14 | 300 | 290 | 240 | 250 | 280 |
15~19 | 430 | 370 | 280 | 280 | 320 |
20~24 | 490 | 490 | 290 | 300 | 350 |
25~29 | 530 | 540 | 330 | 320 | 370 |
30~34 | 590 | 610 | 390 | 320 | 390 |
35~39 | 680 | 650 | 390 | 410 | |
40~44 | 760 | 740 | 410 | 410 | |
45~49 | 830 | 790 | 410 | 420 | |
50~54 | 910 | 850 | 480 | 430 | |
55~59 | 1,000 | 880 | 480 | ||
60~64 | 1,070 | 930 | 540 | ||
65~69 | 1,140 | 970 | 540 | ||
70~74 | 1,210 | 1,010 | 640 | ||
75~79 | 1,290 | 1,060 | |||
80~84 | 1,370 | 1,060 | |||
85~89 | 1,450 | 1,090 | |||
90~94 | 1,530 | 1,140 | |||
95~99 | 1,600 | 1,190 | |||
100 | 1,670 | 1,230 |
- 出典:近畿日本鉄道、南海電鉄、阪急電鉄、阪神電車、京阪電車
- 注1)いずれも2023年10月1日現在の運賃
- 注2)加算運賃が設定されている阪神なんば線の西九条~大阪難波の区間および近鉄線内(けいはんな線など)とその区間をまたがって乗車する場合を除く
- 注3)赤字は同距離間のうち一番高い会社の運賃を、青字は同距離間のうち一番安い会社の運賃を表す
全体的に見ると近鉄と南海は高め、阪急と阪神は安めの印象
営業キロごとに関西の私鉄5社の運賃を比較してみると、初乗り運賃はどこの会社も大きくは変わりませんが、キロ数(移動距離)が伸びるごとに運賃に大きな差が出ていることがわかります。
具体的に見てみると、近鉄と南海はキロ数が長くなっていくたびに運賃が高めになっているのに対し、阪急と阪神はキロ数が長くなっても運賃の上げ幅は小さく、安めになっています。
短距離移動なら阪急と阪神が安く、遠距離移動なら阪急と阪神、京阪が安い
また、15キロ以下など数駅程度の短距離移動なら阪急と阪神が、30キロ以上など府県をまたいで移動するなら阪急と阪神、それに京阪の運賃が安めな印象を受けます。
以上のことから近鉄と南海はどの区間もやや高め、阪急と阪神はどの区間も安め、そして京阪は移動距離が長くなるほど安いという結果になりました。
安く移動するならどの路線を利用する?
上記で私鉄の運賃は阪急電車と阪神電車が一番安くてお得だということが分かりましたが、それでは関西各都市間を電車で移動する際、複数の会社の路線がある場合、一番安く移動するならどの路線を利用すればいいのでしょうか?
以下では各都市間ごとに鉄道会社ごとの運賃と所要時間の目安を以下の表にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
「京都」~「大阪」
京都と大阪を結ぶ路線は以下のとおりでJR・阪急・京阪の3つの鉄道会社が競合しています。
- JR西日本・・・JR京都線(東海道線)
- 阪急電車・・・阪急京都線
- 京阪電車・・・京阪本線
ただし、京都側も大阪側も徒歩圏内に同じ駅があるのはJRの大阪駅と阪急の大阪梅田駅のみで、他の駅は離れた場所にあるので注意が必要です。
まず、京都側は京都駅に乗り入れているのはJRのみで、阪急は京都河原町駅、京阪は祇園四条駅となり京都駅からはかなり距離が離れた場所にあります。
阪急の京都河原町駅と京阪の祇園四条駅はどちらも京都の繁華街に位置しており、錦市場や先斗町、八坂神社など京都を代表する観光地の最寄り駅にもなっています。
また、大阪側は前述のとおりJRと阪急はどちらの駅も大阪一の繁華街である梅田にありますが、京阪については淀屋橋や北浜など、駅周辺は主にビジネス街になっている点に注意が必要です。
以上を踏まえて京都~大阪間の各社の運賃と所要時間は以下の表のとおり。
区間 | 運賃 | 所要時間の目安 |
JR西日本(京都~大阪) | 580円 | 新快速:約28分 |
阪急電鉄(京都河原町~大阪梅田) | 410円 | 特急:約43分 |
京阪電車(祇園四条~淀屋橋) | 430円 | 特急:約50分、快速急行:約53分 |
運賃だけを見るとやはり阪急が一番安いです。
また、運賃は一番高くなりますが早さではJRの新快速一択になります。
ですが前述したとおりJRと阪急の大阪側以外の駅は駅がある場所が異なりますので、目的地に合わせて使い分けるのが良さそうです。
「京都」~「奈良」
京都と奈良とを結ぶ区間はJRと近鉄が競合しています。
- JR西日本・・・JR奈良線・JR大和路線(関西本線)
- 近鉄・・・近鉄京都線・近鉄奈良線
どちらも寺社仏閣などの世界遺産が多く、観光客にも人気のスポットとなっていますが、お得に移動するならばJRか近鉄、どちらが良いでしょうか?
区間 | 運賃・料金 | 所要時間の目安 |
JR西日本(京都~奈良) | 720円 | みやこ路快速:約44分 |
近鉄(京都~近鉄奈良) | 760円 | 急行:約50分 |
【参考】近鉄特急(京都~近鉄奈良) | 1,280円 | 特急:約35分 |
運賃と所要時間だけを比較してみると、近鉄よりJRの方が安くてしかも早いので便利そうな印象を受けます。
しかし、JRの奈良駅と近鉄奈良駅の位置は離れた場所にあり、東大寺や春日大社など観光スポットが固まっている奈良公園へのアクセスには近鉄の方に軍配が上がります。
したがって、京都から奈良への移動の際には目的地に合わせて利用する路線を使い分けるとよいでしょう。
なお、京都~奈良間の移動には近鉄特急も利用可能です。
運賃の他に特急料金が必要ですが、近鉄特急は全席指定席のため、特急を利用すると、早く、そして快適に移動ができます。
近鉄特急の特急券の買い方や乗り方については以下リンク先の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
「大阪」~「神戸」
大阪~神戸市の中心部三宮までの区間は以下のようにJR・阪急・阪神の3つの鉄道会社が競合しています。
- JR西日本・・・JR神戸線(東海道線)
- 阪急電車・・・阪急神戸線
- 阪神電車・・・阪神本線
JRのみ駅名が異なりますが、大阪側も神戸側も3社の駅はすべて徒歩圏内。
なお、阪急と阪神は大阪側も神戸側も駅名が同じです。(大阪側は「大阪梅田」駅、神戸側は「神戸三宮」駅)
そのため、乗換案内のサイトやアプリを利用する際は入力間違いに注意が必要です。
大阪~神戸間の運賃と所要時間の目安は以下のとおり。
区間 | 運賃 | 所要時間の目安 |
JR西日本(大阪~三ノ宮) | 420円 | 新快速:約22分、快速:約28分 |
阪急電車(大阪梅田~神戸三宮) | 330円 | 特急:約28分 |
阪神電車(大阪梅田~神戸三宮) | 330円 | 特急:約32分 |
運賃は阪急と阪神が安く、所要時間はJRの新快速列車の利用が一番短くなっています。
総合的に見て早く移動するならばJRの新快速が有利ですが、安く移動するならば阪急電車が良さそうです。
「大阪」~「奈良」
大阪~奈良間はJRと近鉄の2つの路線があります。
- JR西日本・・・大阪環状線、JR大和路線(関西本線)
- 近鉄・・・近鉄奈良線(難波線、大阪線含む)
大阪から奈良へ電車に行くには主に「JR線のみを利用する場合」と「JRと近鉄を利用する場合」それに「地下鉄と近鉄を利用する場合」の3通りのルートがあります
大阪側はJRは大阪駅から乗車可能ですが、近鉄線は大阪駅や梅田駅に乗り入れていないため、近鉄奈良線に乗り換えができる鶴橋駅または大阪難波駅からの乗車となります。
そのため、大阪駅から奈良へ向かう際、近鉄を利用する場合は、JRや地下鉄で近鉄の駅までアクセスして乗り換える必要があります。
近鉄奈良線については以下リンク先の記事で詳しく解説しています。
ちなみに鶴橋駅での乗り換えは改札を出なくても乗り換えができます。(駅の中間改札が利用できます。)
鶴橋駅での乗り換えの仕方については以下リンク先の記事で詳しく解説していますので、ご利用の際はぜひ参考にしていただければ幸いです。
なお、繰り返しになりますが、奈良側については先ほどの「京都」~「奈良」で見てきたとおり、JR奈良駅と近鉄奈良駅は離れた場所にあり、近鉄奈良駅の方が奈良公園などの観光スポットへのアクセスは良好です。
大阪~奈良間の運賃と所要時間の目安は以下のとおり。
乗車区間 | 運賃 | 所要時間の目安 | 備考 |
JR西日本(大阪~奈良) | 820円 | 大和路快速:約51分 | 乗換不要 |
JR西日本(大阪~鶴橋) 近鉄(鶴橋~近鉄奈良) | 190円 590円 合計:780円 | JR:約16分 快速急行:約30分、急行:約34分 計:約50分~1時間 | 鶴橋で乗換が必要 鶴橋からは座れない可能性がある(特急料金の追加で特急の利用も可能) |
Osaka Metro(梅田~なんば) 近鉄(大阪難波~近鉄奈良) | 240円 680円 合計:920円 | メトロ:約8分 快速急行:約38分、急行:約42分 計:約50分~1時間 | 難波で乗換が必要 難波からは座れる可能性が高い(特急料金の追加で特急の利用も可能) |
運賃を比較してみると、JRと近鉄を利用する鶴橋駅でのりかえするルートが一番安くなっています。
しかし、鶴橋駅から近鉄奈良方面の普通列車は時間帯によっては混雑しており、座れない可能性があります。(ただし特急料金を追加すれば座席指定の特急列車に乗車可能)
一方、大阪難波駅から近鉄に乗車する場合は始発駅のため、快速急行や急行であっても座れる可能性は高いです。
また、JRのみを利用する場合、運賃は鶴橋のりかえで近鉄を利用するよりも若干高くなりますが、乗り換えなしで奈良へ向かうことができます。
「大阪」~「和歌山」
大阪~和歌山間については、主に「JRのみを利用する場合」と、「地下鉄と南海電車を利用する場合」の2通りのルートがあります。
- JR西日本・・・大阪環状線、阪和線
- 南海電車・・・南海本線
南海電車を利用する場合、現在は南海電車は大阪駅に乗り入れていないため、難波駅までは地下鉄を利用して乗り換える必要があります。
なお、JRの和歌山駅と南海の和歌山市駅は離れた場所にあるので注意が必要です。
大阪~和歌山間の運賃と所要時間の目安は以下のとおり。
乗車区間 | 運賃 | 所要時間の目安 | 備考 |
JR西日本(大阪~和歌山) | 1,280円 | 紀州路快速:約1時間30分 | 乗換不要 |
Osama Metro(梅田~なんば) 南海電車(難波~和歌山市) | 240円 970円 合計:1,210円 | メトロ:約8分 特急サザン:約1時間 計:約1時間15分~1時間25分 | 難波で乗換が必要 |
【参考】JR西日本(和歌山~和歌山市) | 190円 | JR:約6分 |
運賃を見ると、地下鉄と南海電車を乗り継いだ方が安くいくことができます。
ただし、前述のとおり大阪駅や梅田駅からだと難波で乗り換えが必要です。
一方、JR線のみの場合、乗り換えは不要ですが運賃が高くなり、所要時間も長くなります。
そのため、総合的に見ると乗り換えが面倒でなければ地下鉄と南海電車を乗り継ぐルートの方が良さそうです。
最後に
当記事では近鉄、南海、阪急、阪神、京阪の運賃を比較し、各都市間に複数の鉄道会社の路線がある場合、どの会社の電車を利用すれば一番安いかについて詳しく見てきました。
関西はJRの他に私鉄の路線も充実しており、上記で見てきたようにJR線よりも安い区間もあるので、電車での移動の際はぜひ私鉄を活用してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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