振替輸送の利用方法【きっぷや定期券・ICカードではどうなる?それぞれ詳しく解説】

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「電車が運転見合わせしていて振替輸送が実施されているんだけど、どうすればいいのか分からない・・・」

「今持っているきっぷで振替先の電車に乗れるの?ICカードだとどうなるの?」

「振替輸送の利用方法を詳しく教えてほしい」

当記事ではこういった悩みを解決します。

※当記事の内容は関西の鉄道会社の共通ルール(2019年3月16日より実施)に従ったものとなっています。

参考 振替輸送のご案内(外部サイト)

参考 鉄道事業者間における振替輸送に関する制度変更のお知らせ(外部サイト)

振替輸送とは?

JRや私鉄などで電車が事故や故障等で運転を見合わせた時に「振替輸送」が行われることがあります。

運転見合わせにより不通となった区間の代わりに、他社のルートが対象者に限り無料で提供されることを振替輸送と言います。

振替輸送は事故や故障などにより電車の運行ができなくなった際に、鉄道会社が利用客に対して運転見合わせ区間を迂回(うかい)し、目的地の近辺まで移動できる手段を提供する仕組みのことです。

振替輸送のイメージ図
振替輸送のイメージ図。この図の場合、〇〇鉄道でA駅からC駅へ向かう途中に運転見合わせが発生し振替輸送が行われると、〇〇鉄道のA駅からC駅までの乗車券で△△電鉄のb駅からc駅までの振替輸送区間を迂回乗車することができる。また、関西エリアでは振替輸送区間内の駅であればどの駅でも乗り降りが可能となっている。(筆者作成)

振替輸送が実施される場合、ほとんどのケースで他社の鉄道会社の路線を利用できる旨のアナウンスがあります。

なお、各鉄道会社の公式ホームページには、自社線の駅に一番近い最寄りの他社線の駅について案内が掲載されています。

これを見ると、どの駅で振替先の路線に乗り換えると良いか、また、目的地に近い他社線の駅はどの駅かといったことが確認できます。

振替輸送はほとんどの場合、無料で利用できます。(詳しくは後述)

ただし、駅から駅への移動にバスやタクシーを使うなど、振替輸送区間以外についての移動に交通費がかかる場合は利用者の自己負担となります。

振替輸送が利用できるケース

振替輸送は主にきっぷ(乗車券)の種類と改札を通るタイミングで対象者が決められています。

振替輸送の対象となるかどうかについては、主に次の2つの条件を両方とも満たしている時が対象となります。

  • 運転見合わせ区間の乗車券を持っている
  • 運転見合わせが発生した時点ですでに見合わせ区間の乗車券を使用している(列車に乗車中または駅の改札を通っている)

以下で詳しく説明していきます。

運転見合わせが発生した時点で不通区間の乗車券をすでに使用している場合に限り対象

運転見合わせおよび振替輸送の情報を、乗車中の電車の中や駅の改札の中で知った場合の乗車券(すでに改札を通して使用中)については、基本的に振替輸送を利用することができます。

運転見合わせが発生した後に乗車券を買った場合は対象外となります。

ただし、乗車する予定ですでに買ってしまったきっぷは手数料なしで払い戻しができます。

なお、きっぷを買う前に振替輸送が始まった場合も対象外となります。

定期券の場合は改札を通っていなくても対象

定期券(通勤および通学)の場合は改札を通っているかどうかにかかわらず、定期券の券面区間に不通区間が含まれていれば振替輸送の対象となります。

定期券であれば振替輸送を実施している間は、どのタイミングでも利用できます。

【注意!】ICカードは振替輸送の対象外

注意が必要なのはICOCAやPiTaPaなどのICカードの場合。

ICカード(モバイルを含む)で乗車する場合については、改札を通るタイミングに関係なく振替輸送の対象外です。(ただし定期券と一体になっているICカードは対象)

近年はきっぷを買わずにICカードだけで鉄道を利用する人も多いですが、ICカードだと振替輸送を受けられないということは覚えておくと良いでしょう。

振替輸送の利用方法

振替輸送の利用方法は簡単です。

以降で振替輸送の利用方法について、乗車券の種類別に分けて詳しく説明していきます。

普通乗車券(きっぷ)、回数券、企画乗車券(1日乗車券等)などの場合

チケット

持っている乗車券が振替輸送の対象のものであれば、振り替え先の路線に乗り換える駅で下車して、いったんその駅の改札を出ます。

その際、持っているきっぷは改札機には通さず、有人改札を通ります。(きっぷを駅員に見せてから出る)

というのも、振替輸送の対象となる手持ちのきっぷは、振り替え先の路線に乗る際に必要だからです。

そして振り替え先の駅についたらその駅の改札口で駅員に手持ちのきっぷを見せます。

問題がなければ、すぐに改札を通してくれます。

下車する駅でも同様に、手持ちのきっぷを下りる駅の改札口で駅員に提示します。

※手持ちの乗車券が振替輸送の対象であるかどうか分からない場合は乗車券が発行された鉄道会社(運転見合わせとなった路線)の係員に確認されることをおすすめします。なぜなら振替先の鉄道会社では別会社となり約款も異なるため判断できない場合があるからです。

定期券の場合

定期券

不通区間を含む定期券を持っている人は、前述したように改札に入っているかどうかに関係なく、どのタイミングでも振替輸送が利用できます。

すでに乗車中または改札内に入っているなら、乗り換える駅で改札機に通して出場し、振り替え先の路線の駅に向かいます。

改札に入る前であればそのまま直接振り替え先の駅へ向かいます。

振り替え先の駅では定期券を駅員に見せて入場します。

下車駅でも同じようにします。

ICカードの場合(対象外)

ICカード

繰り返しになりますが、ICOCAやPiTaPaなどのICカードは振替輸送の対象外です。

振替輸送が実施されている場合であっても、振替先の路線に乗ると通常通り乗った分の運賃が残高から差し引かれます。

ICカードは残高があればきっぷを買わずに電車に乗れるのでたいへん便利ですが、運転見合わせに遭遇しても振替輸送を無料で利用できないというデメリットがあります。

ICカードでも振替輸送を無料で利用できるようにする方法

これを回避するにはあらかじめ普通のきっぷを買って乗車する必要があります。

実はICカードでも振替輸送を無料で利用できるようにする方法があります。

それは「ICカードできっぷを買い、そのきっぷで電車に乗る」といった方法です。

どういうことかというと、駅にはICカードの残高を使って通常のきっぷが買える券売機も設置されています。

その券売機できっぷを買って電車に乗ると、ICカードで買ったとしてもきっぷ(普通乗車券)として扱われるため振替輸送の対象となります。

したがって、万が一のことを考慮するならばICカードの利便性は損なわれますがICカード対応の券売機で普通のきっぷを買って乗車するのが良いでしょう。

最後に

当記事では電車の運転見合わせが発生した際に行われる振替輸送について、利用方法や注意点などを詳しく見てみました。

利用者としては振替輸送を利用することで、運転再開を待たなくても目的地付近まで追加費用なしで移動できるというメリットがあります。

乗っていた電車や乗る予定の電車が事故などで急に運転見合わせとなった際、近くに他社の路線がある場合は振替輸送が行われることがほとんどですので、車内や駅での案内をよく聞き、振替輸送の利用を検討してみると良いでしょう。

なお、ICカードで乗車中の場合は振替輸送を無料で利用することができないので、この点に関しては注意が必要です。